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ジェネリック医薬品の製剤的な特徴を臨床現場に伝える。

更新日:2月13日

研究室訪問



 

深水 啓朗 教授

ふかみ・としろうヒトが薬を利用しやすくするカタチ、すなわち「製剤」をキーワードとして、製薬 企業から臨床現場まで、広く役立つ研究テーマを心がけている。将来的には「製剤」をよりよくするこ とを目的とする、産・官・学・臨のネットワークを構築したい。例えば臨床現場で生じた製剤学的な問題・ 疑問を大学(研究室)が解決する関係・組織の確立を考えている。教育においては、私立大、製薬企業、 国立大、海外での経験を活かして、社会で自立かつ自律できる人材の育成に取り組んでいる。

 

 薬には、目的や用途によってさまざまな形(剤形)があります。例えば内服薬だったら、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤など、外用薬なら、軟膏剤、貼付剤、点眼剤などです。また、飲みやすさを考慮して、口の中で溶けやすい薬や苦みを抑えた剤形もあります。飲み込む力が弱くなった人には、唾液だけですぐに溶ける口腔内崩壊錠、小児には甘く味付けされたシロップ剤などが使われます。ただし、剤形を変えることによって薬の効果が現れるまでの時間や、効果が続く時間や強さ、あるいは使用感といった剤形に由来する特徴が変わることがあります。私たちの研究室では剤形を詳細に評価するとともに、その結果を踏まえてよりよい製剤の開発につなげています。  薬には、最初に開発・販売された先発医薬品(新薬)と、新薬の特許が切れた後に販売されるジェネリック医薬品があります。ジェネリック医薬品には、先発医薬品と異なる添加剤(薬が溶けるのを助ける、あるいは製剤のカタチを保つ働きをもつもの)を使用することがあるので、製薬企業では薬の有効性・安全性に違いが生じないことを確認しています。それでも患者さんによっては体質の問題や、使用感や先入観といった心理的な要因によって効果に差が出る可能性があります。そのため、臨床現場で患者さんと接する薬剤師は、先発医薬品とジェネリック医薬品の特徴を正しく理解し、わかりやすく説明する役割を担っているのです。

 私たちの研究室では、例えば筋肉痛を緩和するときに使われている貼付剤について、先発製剤とジェネリック製剤を比較すると、主薬の皮膚透過性が、ある試験条件では異なることを見いだしました。 偏光顕微鏡で観察すると、薬の有効成分の結晶状態が違っており、患者さんの体質や皮膚の状態によっては透過性に差が生じる原因になり得ると考えています。このような情報を臨床現場に伝えて、薬物治療に活用してもらうことも私たち研究者の重要な任務の一つなのです。


製剤から薬物を抽出
製剤から薬物を抽出
抽出薬物を分析
抽出薬物を分析
実験結果を吟味
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実験結果をディスカッション
実験結果をディスカッション

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