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薬物動態学を駆使して患者に合わせた薬物療法を実現する。

更新日:2月13日

研究室訪問



灘井 雅行 教授

なだい・まさゆき病院薬剤部での経験を基に、薬剤師が薬の専門家としてより有効かつ安全な薬物療法の構築、特に適正な薬物投与法の確立に対して参画、貢献していけるように教育・研究を進めたいと考えている。


 経口投与された薬は消化管から吸収され、血液を通して組織全体にまわり、肝臓で代謝されたり、腎臓から尿に排泄されます。血液中の薬物濃度を測定してこの過程を追いかけるのが薬物動態学で、薬をより安全かつ有効に用いるための重要な情報の一つです。どんなに優れた薬でも、患者さんの背景や状態によって、吸収が悪くなったり、排泄されにくくなったりすると、期待した効果が現れにくくなったり、副作用が起こったりすることがあるからです。

例えば、薬を代謝する肝臓の機能が低下した人とそうでない人が同じ薬を服用したとしたら、結果はどうなるでしょうか。私たちの研究室では肝疾患、腎疾患などを持った病態モデル動物を用いて、血液中の薬物濃度の変動に基づいて、薬の効果や副作用の発現などを研究しています。つまり、体内の薬の動きを明確にすることで、肝臓の機能が低下している患者さんに対する薬の投与量や発現する可能性のある副作用を示すことができるのです。

 臨床現場の薬剤師は患者さんの血液中の薬物の濃度を測定し、薬を投与する量やタイミング、副作用の予測などを行い、その情報を医師にフィードバックし、質の高い薬物療法を提供しています。したがって、研究結果を臨床現場に伝えて、医療の発展に貢献することも薬学部の重要な役割の一つなのです。このように薬物動態学は基礎と臨床をつなぐ橋渡し的な学問です。

 近年、高齢化が進み、同時にたくさんの疾患をもつ患者さんが増えています。一人ひとりに合わせた薬物療法を提供することが実現すれば、患者さんは安心して治療が受けられるでしょう。


薬物濃度を測定
薬物濃度を測定
実験結果をディスカッション
実験結果をディスカッション

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