患者の声をもとに、薬物治療の適正化と医療安全に貢献する。
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更新日:2月13日
研究室訪問


堀 里子 教授
ほり・さとこ●地域医療の現場から、医療者や患者・消費者を通じて市販後情報を効率的に収集するシステムの開発に取り組んでいる。さらに、収集した市販後情報の解析・評価により、薬物治療の適正化のための新規エビデンスの構築や投薬ミス防止システムの開発を進めている。自由で柔軟な発想を大切にしながら、“薬の安心安全”を推進する学際的な情報学研究の発展とそれらを支える人材育成を担っていきたいと考えている。
薬は開発から市場に出るまでの間、さまざまな試験により有効性や安全性を確認することが義務付けられています。そして市販後に副作用が発生した場合は、医療者が関係機関に報告する体制が整備されています。市販後は使用患者数が急激に増加するとともに、使用患者の状況も多様化することから、開発段階では判明していなかった副作用などが発現することがあるからです。市販後の情報が蓄積されていくことで、薬の安全性の向上、使い方の改善につながっていくのです。このように、薬をより安全で効果があり、使いやすいものへと育てていく取り組みを育薬といいます。
育薬には患者の協力が欠かせません。しかし、患者の中には疾患や副作用の症状、ニーズ等を医療者に伝えずに我慢してしまうケースも少なくありません。市販後に収集される情報の多くは、医療者から報告されたものであり、患者からの報告は十分ではないのが現状です。そこで私たちの研究室では、従来拾いきれない患者の声を収集する仕組みをつくったり、この情報を解析する手法を開発することで、患者がもつ情報をより安全で適切な薬物治療の実現に活かすことを目指しています。


患者に治療や薬にまつわるエピソードを発信してもらうホームページやワークショップを開催したり、薬局において患者自身が薬剤師に症状を伝えやすくする支援アプリを作成したりして、患者の声を医療に役立てる取り組みを進めています。このほかソーシャルメディア(闘病記ブログほか)から得られる患者テキストから薬物治療に伴う副作用症状や悩みを自動抽出する機械学習モデルに基づく自然言語処理システムの開発を進めています。


